架空LPを題材に「何をGA4で計測するか」を設計していきます。
AIツールを使って一から作ったLPを、そのまま「分析対象」として使うことにしました。完成品ではなく実験素材として割り切って作ったもので、レスポンシブや細部の作り込みより「計測できる状態にすること」を優先しています。
ひとつ前置きをしておくと、このサイトはまだコンテンツも少ないため、流入はほとんどない見込みです。月に数百PVあればいいほう、というのが正直なところ。実際に使えるような数値を取ることは難しいかもしれませんが、それでも「仮説を立てて、観察した」という記録として公開します。
AIで作ったLPを「分析対象」にしてみる
このLP、実は「Web制作実験室」のために新しく作ったわけではありません。AI系のオンラインセミナーで「ワイヤーフレームやサイトマップもAIで自動化できる」という話を聞いて、数か月前に3日ほどで試作したものです。
制作の詳細(使ったツールや、手順など)は「AIでLP制作した6工程と、残った人間の判断」にまとめています。
GA4の設計をゼロから考えるにはもってこい、ということで、活用することにしました。
※このLPは実験LP一覧ページでも公開しており、現在進行中のCTA文言A/Bテストの詳細はそちらでも確認できます。→実験LP一覧「SkillCollege オンラインスクールLP」
なぜ計測項目を先に決めるのか、そして何を知りたいか
GA4での計測を考えるにあたって、まず考えたことがあります。「何のために計測するのか」です。
計測の目的が決まっていないと、データが揃っても次の一手が出てきません。だからまず「このLPで何を知りたいのか」を整理することから始めました。

知りたいことは、次の3つに絞れました。
どのCTAが最もクリックされるか
このLPにはCTAボタンが4箇所あります。追従ヘッダー・FV(ファーストビュー)・解決セクション・最終CTAです。どこで一番クリックされているかを把握することで、ユーザーがどのタイミングで行動を起こすかの傾向が見えてきます。
ただし追従ヘッダーのCTAは常に表示されているため、構造的にクリック数が多くなりやすい。「文言が良かったから押された」のか「常に見えているから押された」のかは、この計測だけでは区別できません。この限界は記録として残しておきます。
CTAクリックからフォーム送信の完了率はどのくらいか
CTAをクリックしたユーザーが、実際にフォーム送信まで完了する割合はどのくらいか。一般的な目安は30〜50%とされています。このLPで同じような傾向が出るのか、それとも大きく外れるのかを観察します。
なお今回のフォームは実際には送信されない設計です。「送信ボタンをクリックした」というイベントのみをGA4で計測します。
CTA文言で反応は変わるか
「まず、話だけ聞いてみる」と「無料で相談してみる」、この2つの文言でクリック率に差が出るかを見ます。訴求の軸が違う2案を比べることで、このLPのペルソナにどちらの言葉が刺さるかを観察します。後ほど詳しく説明します。
GA4計測設計:何をどう計測するか
サイトのゴールから計測項目を決めた
このLPのゴールは、問い合わせにつなげることです。そのゴールに対して、今のサイトの状態はどうなっているのか。まずはそこを把握することから始めます。
ゴールから逆算すると、最初に計測すべき項目は2つに絞れました。
- ユーザーがCTAをクリックしたか
- クリックした後、フォーム送信まで完了したか
イベント設計一覧
今回は、GA4側で以下のようなイベントを設定しています。
| イベント名 | 発火条件 | 計測の意図 |
|---|---|---|
| lp_cta_click_header | 追従ヘッダーCTAクリック | 常時表示CTAの反応を見る |
| lp_cta_click_fv | FVのCTAクリック | ファーストビューの訴求力を見る |
| lp_cta_click_resolve | 解決セクションCTAクリック | 中盤で行動を起こすユーザーを見る |
| lp_cta_click_final | 最終CTAクリック | 最後まで読んだユーザーの行動を見る |
| lp_scroll_50 | スクロール50%到達 | ストーリーセクションまで届いているか |
| lp_scroll_80 | スクロール80%到達 | FAQ・料金まで読まれているか |
| lp_form_submit_click | 送信ボタンクリック | CV(コンバージョン)意思の計測 |
分析対象から外したもの・理由
GA4で自動取得される直帰率や滞在時間などは、今回の分析対象からは外しています。理由は、サイトの現状把握が今回の目的だからです。最初から全部を見ると、判断軸がぼやけやすい。まずゴールに近い指標、CTAクリックとフォーム送信に絞ることにしました。
直帰率や滞在時間は、数値に異常が出たときの診断指標として参照する位置づけです。
追従CTAの計測における限界・Clarity導入予定
追従ヘッダーのCTAは常に表示されているため、どのセクションを読んでいる最中にクリックされたかは、GA4のイベント計測だけでは正確に把握できません。スクロール深度のイベントと組み合わせて傾向を推測することはできますが、因果関係の特定は難しい。この限界は記録として残した上で観察します。
この課題を補うために、後からMicrosoft Clarity(ヒートマップやセッション録画が使える無料の解析ツール)を導入する予定です。セッション録画を使えば、実際にどこを読んでいる最中にCTAをクリックしたかを動画で確認できます。
CTA文言A/Bテストの設計
このLPのペルソナとその不安
このLPで想定しているペルソナは、漠然とした将来への不安を持つ層です。「今すぐ転職したい」という強い動機があるわけではなく、「このままでいいのかな」「自分にもできるのかな」という興味段階にいる人を想定して作りました。
この層が抱える不安の種類として考えられるのは2つです。
- 「相談したら売り込まれそう」という行動への抵抗感
- 「お金がかかりそう」という金銭的な不安
どちらの不安が先に来るかで、刺さる文言が変わります。その判断をするために、訴求軸の違う2つの文言を比較することにしました。
A案 vs B案:なぜこの2つを選んだか
比較する文言はこの2つです。
| パターン | 文言 | 訴求軸 |
|---|---|---|
| A案 | まず、話だけ聞いてみる | 行動の軽さ |
| B案 | 無料で相談してみる | コスト障壁の除去 |
方向性が明確に違う2案を比べることで、このペルソナへの訴求軸を観察します。
実施方法はページをランダムに振り分けるA/Bテストです。アクセスのたびにA案・B案どちらかが表示される形で運用し、クリック率を比較します。
予想と理由
現時点では、A案の方が反応が出るのではないかと予想しています。
このLPのペルソナは強い動機を持っていない層なので、金銭的な不安より「相談するという行為自体への抵抗感」の方が先に来ると考えました。「話を聞くだけ」という表現は、その抵抗感を和らげる言葉として機能するはずです。
ただしこれはあくまで予想です。実際に数字が取れたら、ログをまとめます。
今後追加で検証したいこと
今回の実験で扱えなかったものの、今後検証したいことをメモとして残しておきます。
ペインカード×スクロール促進
FV直下のペインカードがスクロールを促進しているかどうか。カードの内容や順番を変えることで、スクロール深度に変化が出るかを見たいと思っています。ファーストビューを通過した後の離脱を減らせるかどうかの検証です。
感情の流れ×CV率
最後まで読んだユーザーほど、フォーム送信率は高くなるはずです。
ただし今回のLPは、CTAクリック時にフォームまでスクロールするため、スクロール深度だけでは正確な判断はできません。「スクロールはしたけどCTAクリックに至らなかったユーザー」は拾えるので、数値は観察します。この仮説の本格的な検証は、設計を見直した上で続編で扱う予定です。
Microsoft Clarity導入後の変化
ヒートマップとセッション録画が使える無料の解析ツールです。導入前後で何が見えるようになったかを記録します。
CTAの場所×文言の掛け合わせ検証
今回は全CTAを同じ文言で切り替えます。ただし場所によって刺さる文言が違う可能性もあります。FVと最終CTAで別の文言を試す実験は、今後のシリーズで扱います。
数字が小さくても、「どんな仮説で改善したか」は記録として残るはずです。
次回は、実際にデータが集まり始めた段階で、
- どのCTAが押されたか
- 想定とズレはあったか
- A/Bテストに差は出たか
を観察ログとして整理します。
