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請求書の”記録→起票”、無料AIに任せてわかったこと

請求書を作る前段階、「今月何をやったか」を思い出しながら書き起こす作業を自分でやっている方へ。無料版のGemini・ChatGPTに雑な作業記録をそのまま渡したら、請求書用の品目リストにどこまで整形してくれるのか試した。試した範囲で見えた両者の違いを、判断材料として残しておく。

記録の仕組みがなくても、請求書の下ごしらえは楽になるか

もともとは、無料のAIで経理まわりをどこまで肩代わりできるか、というところから考え始めた。Googleスプレッドシートと連携できないか、といった案も考えていたが、ITがあまり浸透していない中小企業では、スプレッドシートすら十分に活用できていない場合も多いのでは、と思い直した。そこから、メールやWordの文書のような、もっと手前にあるものから請求書を作る方法を考えるようになった。実際、自分の周りでも、スプレッドシートに雑にメモしている人もいれば、記録すらせず月末にLINEやメールの履歴を遡って思い出している人もいた。

だとすると、まず確かめておきたいのは、「雑な記録」をそのまま渡したときに、無料のAIがどこまで請求書の品目に整えてくれるか、という一番手前の部分だった。

試し方の設計:あえて雑な記録を2パターン用意した

架空の4社分の作業記録を、2つのパターンで作った。

  • Aパターン:スプレッドシートに日々ラフに記録している想定。日付・内容・時間がバラバラの粒度で並んでいる
  • Bパターン:記録の仕組みを持たず、LINEやメールの送受信履歴を遡りながら単語レベルで書き殴った想定。数量があいまいで、自分の記録と相手の認識がズレている箇所もあえて残した

両方とも、Gemini無料版・ChatGPT無料版に同じ指示文を渡した。実際に使ったものをそのまま載せておく。

あなたは個人事業主の請求書作成を手伝うアシスタントです。
以下は今月の作業記録のメモです(複数クライアント分をまとめています)。
このメモをもとに、請求書に記載する「品目リスト」を会社ごとに作成してください。

【制約】

  1. 金額・単価は一切書かないでください。単価は別途こちらで単価表と照合して入力します。
  2. 品目名は請求書に載せても違和感のない体裁に整えてください(メモの雑な表現をそのまま使わない)。
  3. 似た作業は1行にまとめ、回数や数量としてまとめてください(例:個別の修正依頼4件→「修正対応」1行・数量4)。
  4. 数量や回数があいまいな場合は、勝手に確定させないでください。「要確認」として、判断のもとになったメモの内容もあわせて示してください。
  5. メモの中に矛盾する情報(自分の記録と相手の認識が食い違う等)があれば、それも「要確認」として明示してください。
  6. 出力は会社ごとに、No/品目名/数量・単位/確度(確定/要確認)/根拠・メモ の5項目からなる表形式で統一してください。

以下がメモです。

(ここに作業記録を貼り付ける)

条件のポイントは2つ。金額を書かせない(勝手な金額の計算はさせない)ことと、あいまいな数量を勝手に確定させず、要確認として理由も添えさせることだった。

単純な記録違いは、両方ともちゃんと拾えた

4社のうち1社(テックビジョン)では、自分の記録では「追加ページ3件」だったが、相手からの返信メールには「4ページで認識しています」という一文が残っていた。この食い違いを、GeminiもChatGPTも見逃さず、どちらが正しいか決めつけずに「要確認」として返してきた。

自分の記録と相手の認識がズレていること自体に気づけるかどうかは、無料版でも両ツールとも問題なく対応できた。

一歩踏み込んだ気づきには、はっきり差が出た

別の1社(グリーンウェーブ)では、「着手金(見積もりの50%分)」と「ヒアリング・設計業務」を、それぞれ別の品目として記録していた。Geminiは、この2つを別々に出しながらも、

上記No.1の「着手金」にこの作業範囲が含まれるか、別途実費/時間請求か確認が必要です

という一文を、AパターンとBパターンの両方で自主的に添えてきた。着手金の中にヒアリングや設計の工数が含まれているなら、別立てで請求すると二重に計上してしまう、という指摘だ。これは自分が渡したメモには書いていない気づきだった。

一方のChatGPTは、同じ2つの品目をそのまま並べるだけで、この点には両パターンとも一度も触れなかった。

「確定」が早いChatGPT、「要確認」が多いGemini

全体を通して見ると、ChatGPTの方が「確定」と判断する場面が多かった。たとえば別の1社(丸良商事)で、サイト保守の記録が月初と月末の2箇所に残っていたケースでは、Geminiは「重複か別作業か確認が必要」として要確認に回したが、ChatGPTは「同一の月額保守の可能性が高い」と自分で判断して確定扱いにしていた。

ChatGPTの方が高性能という印象を持っていたが、今回の事例では、ChatGPTの判断は的外れではないものの「確定」に寄りやすく、そのまま信じてしまうと見落としそうな場面があった。逆にGeminiは要確認が多く出る分、目を通す手間は増えるが、勝手に決めつけられている感覚はなかった。

今回は各パターン1回ずつしか試していないので、毎回同じ傾向になるとは言い切れない。ただ、少なくとも今回試した範囲では、この差ははっきり出ていた。

無料版を実務で使うなら気をつけたいこと

今回は架空の会社名で試したが、実際の顧客名を扱うことを考えると、データの扱いも確認しておきたかった。調べてみると、ChatGPT無料版・Gemini無料版とも、初期設定では入力内容が学習や人間によるレビューの対象になっていた。それぞれ設定を変更すればオプトアウトできるが、Geminiの場合はオプトアウトすると一定時間操作がない会話が保持されなくなるという制約もあった。実在の顧客名を扱う場面では、この設定を先に済ませておく必要がある。

まとめ

  • 自分の記録と相手の認識がズレているような単純な食い違いは、無料版のGemini・ChatGPTどちらでも検知できた
  • ただし、着手金と実作業が二重に計上されていないかというような、一歩踏み込んだ気づきには差があり、今回試した範囲ではGeminiだけが拾えた
  • ChatGPTの方が「確定」と判断するのが早く返答は整って見えるが、その分どこまで人の目でチェックするかは別で考えた方がよさそうだと感じた