GA4のデータを自分で分析していて、AIやツールに指摘されないと数字の扱い方に自信が持てない、という方へ。6月はClaude Codeと二人三脚でGA4分析をゼロから学んだが、7月は自力で分析して、AIにはレビューだけを頼む形に変えた。同じセッションの中で「関係がありそうな数字に気づく」場面が3回あったが、1回目は指摘されてようやく気づき、3回目には指摘される前に自分で判断できるようになっていた。同じように教わりながら分析している方に、自分の今の立ち位置を確かめるきっかけとして読んでもらえたら。
自力でGA4分析をすることにした
6月は分析の進め方そのものをAIに教わりながら、実際のサイトのGA4データで月次レポートを作った。7月は、その進め方がどれだけ身についたかを確認するために、AIが用意した未見の練習用データ(本番のGA4データとは別物)を使い、自分で分析を進めて、AIには結果のレビューだけを依頼する形に変えた。データを開いて最初に目についたのは、全体のエンゲージメント率41.3%と、チャネル別の内訳から逆算した46.6%の差だった。ここは6月の教訓通り「全体とチャネル別を必ず検算する」を自分から実践できた場面だった。ただし、数字のズレに気づけたことと、その原因が分かることは別の話だった。この点は記事後半で改めて書く。
このとき実際に見ていた数字は、だいたいこんな内訳だった。
| チャネル | セッション | エンゲージメント率 | エンゲージセッション数 |
|---|---|---|---|
| Organic Search | 118 | 58.2% | 69 |
| Direct | 96 | 55.4% | 53 |
| Referral | 74 | 9.1% | 7 |
| Organic Social | 34 | 61.7% | 21 |
| 合計 | 322 | 150 |
デバイス別では、デスクトップ210(平均滞在1分5秒)に対してモバイルは98(平均20秒・エンゲージメント率25%)と短く、時間帯別では0〜2時台に115件が集中していた。この数字を眺めながら、3つの引っかかりが浮かんだ。
1回目:モバイルとX経由をつなげかけた(指摘されて気づいた)
デバイス別の表を見ながら、当時こんなメモを残していた。
モバイル98→平均セッション20秒と短い。X経由で流し見離脱が多いのか?エンゲージメント率25%
X経由の流入は普段から滞在が短い傾向があった記憶があり、そこから浮かんだ疑問だった。言い切ってはおらず、「〜なのか?」という書き方にとどめていたが、それでもAIには「その仮説を成立させるには『デバイス×チャネル』のクロス集計(複数の軸を掛け合わせて集計すること)が要るが、今回の元データには存在しない」と指摘された。関係がありそうだと感じたこと自体は間違いではなかったが、「裏付けを確認する」という一手間は、自分からではなく指摘されて初めて意識した。仮説(未検証)と明記して次に進んだ。
2回目:深夜アクセスとデバイスをつなげかけた(自分から裏付けを取りに行った)
時間帯別の内訳はこうなっていた。
| 時間帯 | セッション数 |
|---|---|
| 0時台 | 38 |
| 1時台 | 41 |
| 2時台 | 36 |
| 4時台〜13時台(各時間帯の平均) | 約6件 |
0〜2時台だけで115件、全体の36%を占めている。ここで残したメモがこれだった。
推測ではあるがボット系であれば、アクセスの少ない深夜帯にクローラーを回す可能性がある。夜間のセッションと、デバイスカテゴリ、OSのクロス集計で状況を
1回目の指摘を踏まえ、今度は自分から時間帯×デバイス×OSのクロス集計を確認しようとした。だが今回も、時間帯別・デバイス別・チャネル別はそれぞれ独立した表で、掛け合わせられるデータではないと分かった。ここで、クロス集計がなくても使える比較をAIと一緒に考えた。
レポート作成のはじめの方で、Referral(参照元)の内訳も見ていた。
| 参照元ドメイン | セッション | 直帰率相当 |
|---|---|---|
| best-seo-tools-2026.info | 51 | 98% |
| news-aggregator-jp.com | 12 | 25% |
| hatena.ne.jp | 6 | 10% |
このうちbest-seo-tools-2026.infoは直帰率98%という数字から、ボット濃厚と判断していた。深夜0〜2時台の115件から、このドメインのセッション数51件を差し引くと、残り64件。これを時間で割ると1時間あたり約21件になる。比較対象には、14時以降は日中〜夜の利用が増えて人のアクセスと混ざりやすいため、明け方から昼過ぎまでの落ち着いた時間帯(4〜13時台、1時間あたり約6件)を選んだ。この基準と比べると3.5倍だった。1回目とは違い、追加データなしでも「既知の原因では説明しきれない偏りが残っている」というところまで、自分でも計算しながらたどり着けた。
3回目:デスクトップとボットをつなげかけた(判断は自分でできた)
デバイス別の詳細はこうだった。
| デバイス | セッション | エンゲージメント率 | 平均セッション時間 |
|---|---|---|---|
| デスクトップ | 210 | 52.0% | 1分05秒 |
| タブレット | 14 | 60.0% | 50秒 |
ここで残したメモがこれだった。
タブレットはセッション少ないがエンゲージメント率は60%と高水準。デスクトップはボットでエンゲージメント率がやや下がっていることを踏まえても、タブレットのエンゲージメント率の高さは1つポイントになる?
デスクトップは平均滞在時間1分5秒でしっかり読まれていたのに、このメモではいつの間にか「デスクトップはボットのせいでエンゲージメント率が下がっている」という前提を自分で置いてしまっていた。AIからは、サンプル数が少ないタブレットの扱いと合わせて「この2点、どう扱うのがよさそうか、自分の考えを聞かせてほしい」と判断を委ねられた。タブレットは参考値扱いにして定点観測を続ける、デスクトップとボットの関連は根拠のない断定として触れずに落とす——この2つを自分で決めたところ、そのまま「適切な判断」だと返ってきた。指摘されて直したのではなく、自分で判断できた最初の場面だった。
「気づいたら裏付けを確認する」型は、1回目と3回目で中身が違っていた
3回とも「関係がありそうな数字に気づく」ところまでは同じだった。違ったのは、そこから裏付けを確認するところまで、最初に言い出すのがAIだったか自分だったかという点で、それが3回のうちに少しずつ入れ替わっていた。無理に決めつける癖があった、と反省するより、同じ型を自分のものにしていく過程だったと今は思う。
検算が一致しないとき、次にどこを見るか、で少し詰まった
冒頭で触れたエンゲージメント率のズレ(41.3% vs 46.6%)は、3回のエピソードとは少し違う種類の詰まり方をした。数字が合わないこと自体には自分で気づけたが、その先で手が止まった。「集計期間はあっているはず」「四捨五入で5%も変わるとは思えない」と考えを進めたところで、「セッション定義が違うのでは」という仮説は浮かんだものの、そこから先どこを調べれば裏が取れるのか、当たりがつけられなかった。相談すると、「根拠のないところに仮説で穴埋めしない」「元データ側にこれ以上の手がかりがないなら、無理に理由を決め打ちせず、原因未特定・要確認事項と明記するのが正しい書き方」と言われ、そこで初めて「分からないことは分からないと書いてよい」と腹落ちした。ただ、この場面は練習だからこそAIに相談しながら丁寧に進められた面が大きい。実務では、検算が合わないと分かった瞬間に「次にどこを見るか」の当たりを自分でつけられないと、そこで作業が止まってしまう。3回のエピソードで身についた「気づいたら裏付けを確認する」型よりも、こちらの方が実務に持ち帰るには重い課題だと感じている。
実務でも使える「型」
今回の3回を振り返って持ち帰れる型は次の4つ。
- 全体の数字から見て、異常が出ているところから分解していく。最初から全部の軸を同時に見ようとしない
- 「違和感のある数字」から優先順位をつけて掘り下げる
- クロス集計は、後から表を見比べて探すのではなく、GA4の探索レポート(Explore)でその場で作れる
- 裏付けが取れないときは、無理に結論を出さず「保留」にする
忘れがちな計算式のメモ
自分がよく忘れるので、ここにまとめておく。
| 場面 | 計算式・目安 |
|---|---|
| エンゲージメント率の検算 | チャネル別のエンゲージセッション数の合計 ÷ 総セッション数。全体サマリーの数字とズレる場合は、集計期間や定義の違いを疑う前に、まずこの割り算で検算する |
| 既知の要因を除いた残差(引いても残る差)の比較 | (対象期間の合計件数 − 既知の要因による件数)÷ 対象の時間数。他の時間帯・条件の平均件数と比べると、クロス集計データがなくても「まだ説明できない偏り」が残っているかが分かる |
| サンプル数が少ない指標の扱い | 1〜2件の違いで比率が大きく動く件数(十数件程度)は参考値扱い。目安として数十件に満たない指標は、件数が貯まるまで判断を保留する |
まとめ
- 指摘されないと気づけないことと、自分で気づけることの差は、経験の量というより「裏付けを最初に思いつくかどうか」の差だった。3回のうちにその差が縮まっていくのが自分でも分かった
- 検算が合わないと分かった後、「次にどこを見るか」を自分で当たりをつける力はまだAI頼みで、ここは実務までに鍛える必要があると感じている
- 検算・残差比較・サンプル数の扱いは、クロス集計データがなくてもできる確認方法として持ち帰れる
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