A/BテストLP設計 進行中

AIが出したLP構成を人力で直した——設計の判断ログ

AIが出したLP構成を人力で直した——設計の判断ログ

AIにLP構成を出してもらったとき、返ってきたのは「正しいけれど、汎用的な」構成だった。ペルソナへの解像度があったから直せたが、それがなければどこを変えるべきか判断できなかったと思う。この記事は、自分がこれから提供していくサービス「外部Web担当(あなたの会社のWeb担当)」のLPをペルソナ設計・競合スキャン・構成チューニングの3段階で設計した判断ログだ。AIとLP設計の分担を探っている方に、直す根拠の持ち方として読んでもらえたら。

「今できること」に正直にサービス範囲を決めた

AIにLP構成を出してもらうにしても、その前に「何を売るか」を固めなければ渡す要件が作れない。実験ログ第1弾は架空サービスのLPだったが、今回は実際に自分がこれから提供していくサービスの集客のために作ることにした。架空サービスで構成の精度を上げるよりも、実際に問い合わせが来る可能性のある題材で実験する方が観察が深まると考えたからだ。その前提で「何を売るか」を絞り込む必要があった。

題材の候補は3つあった。

候補内容判断
AWeb保守運用・改善ディレクション採用
BGA4計測設計・レポート基盤構築見送り
CWeb運用の内製化支援Aに吸収

Bを見送ったのは、Looker Studio構築・計測設計書の単独フル対応にはスキルが追いついていないからだ。「取りたい仕事」ではあった。ただ、LPに書いた成果物を実際に問い合わせが来たときに提供しきれないリスクがある。実在サービスで作る以上、LPの約束は「今できること」の範囲に収める必要があった。

CはAのサービス範囲として説明する方針にした。「サイトを保守運用したい」という読者ニーズは同じで、「外部委託したい」か「自分たちでやりたい」かの違いはサービスの分岐ではなく、A/Bテストの切り口として使えると判断した。

「やれる・やりたい」と「LPに書いて責任が取れる」は別だ、という整理がここで必要だった。

誰に提供するかを決める:ペルソナが生声で変わった

最初の仮説は「10〜20名規模・総務兼任のWeb担当者」だった。

それが変わったのは、実際の近隣開業者から生の困りごとを聞く機会があったからだ。

  • 「Webは分からないから先導してくれる人が欲しい。問い合わせさえ来れば仕事につなげるのは自分でできる」
  • 「ドメインやメールの設定を自分でやって手間取った。信頼できる人がいると助かる」
  • 「AIでLPの構成案は作ったが、実装の仕方が見えない」

この声の像は、想定していた「総務兼任」より「1〜2名の開業者(本人=決裁者)」に近かった。ターゲットペルソナに近い層から直接声を聞けたことで解像度が上がり、ペルソナを拡張した。

確定したのは「ホームページの担当者・相談相手がいない、1〜20名規模の会社・事務所」。

ペルソナを拡張したことで、もうひとつ構造的な気づきがあった。「LPを読む人(担当者)とお金を出す人(社長)が違う場合がある」という点だ。1〜2名の開業者なら本人が決裁者だが、10〜20名規模だと担当者の後ろに社長がいる。LPには「担当者を安心させる言葉」と「社長に説明できる材料(価格・成果物・なぜ代行ではないのか)」の両方が必要だと分かった。発注の決め手を「安心感 > 価格 > 実績(実績は足切り条件)」と設定したのも、この生声と構造の理解から来ている。

競合との違いをどこに置くか

競合スキャンで気づいたのは、「伴走」がすでに差別化ワードとして機能していない、ということだ。「伴走型Web保守運用」「伴走型コンサル」を標榜するサービスが複数存在していた。FVに「伴走します」と書いても「他と同じ」に見える。FVと看板からは外し、スタイルの描写としてのみ本文に残すことにした。

「伴走」以外にも、FVに使わないと決めた言葉が2つある。「専任」と「Web(単体)」だ。「専任を置く」という発想は人事用語で、1〜2名の開業者には自分ごと化しにくい。「Web担当」より「ホームページ担当」の方がターゲットの生活言語として通じると判断した。「どの言葉を使うか」より先に「どの言葉が届かないか」を決めることで、コピーのブレが減った

一方で、「1〜20名・ホームページ担当者がいない」まで絞り込んでペルソナを名指ししているLPは、スキャン範囲には存在しなかった。ペルソナの名指し精度が差別化になりうると判断したのはここからだ。

月8時間・3社上限の設計も、この文脈で決めた。

本業と並行して確保できる作業時間は月に約24時間。1社あたり月8時間、3社まで(8時間×3社=24時間)が物理的な上限だ。

「制約」として書くか「設計」として書くかで読まれ方が変わると考えて、「設計」として書くことにした。「3社以上は引き受けない」を「真剣に関わっている証明」として機能させることで、規模の大きい競合が真似しにくいポジションになりうると考えた。料金セクションに「空席カウンタ(現在◯社)」を表示したのも同じ意図だ。

もうひとつ、このサービス設計で向き合った問題がある。本業に就いた後は営業時間内の即レスが難しくなる、という制約だ。最初は単価を下げることで対応しようと考えたが、即レスはこのサービスの価値の核心ではないと整理して、別の方法をとった。「平日は当日夜まで、遅くとも翌営業日中に返信」という返信の目安を明示することにした。ペルソナが感じる不安の正体は「遅さ」ではなく「いつ返ってくるか分からない不確実性」だ。ルールを先に見せること自体が、安心感の設計になると考えた。

ペルソナをよく知っていたから直せた3か所

要件と想定ペルソナをまとめてAIに渡すと、LP構成案が返ってきた。

  1. FV(キャッチ・CTA)
  2. 課題提示
  3. 実績・信頼
  4. サービス詳細・進め方
  5. 料金
  6. FAQ
  7. CTA・フォーム

「正しい」のは分かる。LPでよく見かける基本構成だった。ただ、このペルソナには合わないという違和感があった。

確定したペルソナの発注の決め手は「安心感 > 価格 > 実績(実績は足切り条件)」だ。AIが出した構成は「3番目に実績・信頼」——前半に実績を置く順序になっていた。これは「実績で選ぶ」読者向けの設計で、このペルソナには順序が逆だと判断した。

そこから人力で直した箇所は3つある。

① 実績セクションを後ろに移動した

「安心感1位のペルソナには、何ができる人かより話しかけやすいかが先」という判断。実績は「不安にならない程度にあれば十分」なので、後方に格下げした。

② ミニ診断を前半に入れた

試しに「ホームページ 問い合わせ 来ない」を検索してみると、制作会社の「集客問題か接客問題かを切り分けよ」という記事が並んでいた。ペルソナはLPに来る前にこうした記事を読んでいる可能性が高い、と気づいた。LPのミニ診断をその記事の続きとして機能させることで、最初から売り込みにならない入口が作れると考えた。

③「こんな相談もOK」セクションを実績より前に置いた

「何でも話せる人」の証明を、実績より先に見せる構成にした。雑多な困りごとのリストを見て「あ、これ自分の話だ」と感じた時点で信頼が形成される——という仮説がある。大手には構造的に真似しにくいと考えられる(サービス範囲外と言わざるを得ない)表現でもある。

AI案調整後
① FV(キャッチ・CTA)① FV(キャッチ・CTA)
② 課題提示② 課題提示
③ 実績・信頼③ ミニ診断(追加)
④ サービス詳細・進め方④ こんな相談もOK(追加)
⑤ 料金⑤ サービス詳細・進め方
⑥ FAQ⑥ 料金
⑦ CTA・フォーム⑦ 実績・信頼(後方へ)
⑧ FAQ
⑨ CTA・フォーム

AIが出す構成が「汎用的」なのは当然で、問題ではない。今回、ペルソナの発注心理まで含めた設計ができたのは、ターゲットが何を不安に感じ、どう読み進めるかを具体的に想像できたからだと感じた。AIに要件を渡して叩き台を作ってもらうことで、構成を白紙から考える時間は短くなった。そこに「直す根拠」を持って臨んだことが、自分の場合はAIとの分担を機能させた部分だったと思っている。

まとめ

  • 「今できることに正直にする」でLPに書く約束の範囲が明確になった。架空ではなく実際に提供するサービスだからこそ、スコープを絞る判断が必要だった
  • ペルソナを絞り込んで名指しできたのは、生声を直接聞いていたから。AIに渡せるのは「話した内容」だが、「誰の声を聞くか・その声をどう読むか」は人間が担う部分だと感じた
  • AIが出した構成を直せたのは、「なぜ違うか」を説明できる根拠があったから。感覚ではなく、ペルソナの発注心理から逆算した判断だった、という手応えがある

このLPではA面(痛み起点)/ B面(欲求起点)のFVを比較するA/Bテストと、GA4によるlp_section_viewでの計測を設計している。「ペルソナを名指ししたLP設計が問い合わせCVRに影響するか」を観察するのが次フェーズだ。A/Bテスト設計とGA4計測の詳細は実験ログ#03に記録する。

また、このLP構築では複数のAIによる協調レビュー(Agent Team)も活用した。その詳細は後日ブログ記事で書く(X @AO_weblab で告知予定)。

→ 実験ログ#03:スクロール率が測れないLPに、別の測り方を取り入れた

LP自体はこちらで公開している。→ 外部Web担当LP(あなたの会社のWeb担当)

実験サマリー

ステータス
進行中
まとめ
実際に提供予定のサービスLPでFVキャッチコピーのA/Bテストを設計。スクロール率が測れない既知の限界に、セクション表示計測への切り替えで対応した記録。